残留農薬と濾過について

わたしたちが毎日食べている料理には様々な栄養素が含まれています。日持ちしない野菜などは日を置かず買い物に行く人もいるでしょう。スーパーや八百屋の店頭で野菜などの生鮮食品を購入する場合、主に記載されている表示は栽培された原産地と消費期限の2つだけのことが多いと思います。では栽培に使用された農薬やその種類、量などはどうなっているのでしょうか?

完全無農薬野菜の栽培は難しい

国内で栽培されている野菜のほとんどには農薬が使用されています。これは野菜を栽培するうえで必要なものです。使用しなければ安全ですが使用しない場合、害虫や疫病がはびこり収穫量が減ったり野菜そのものが枯れてしまったりしまうからです。

かいわれやもやしなどの水耕栽培のものであれば栽培日数も短くて済みますが、きゃべつや、大根、ニンジンなどある程度、日数のかかるものはどうしても虫や細菌、動物との戦いになります。農家の人たちは長年これらとの戦いにあれやこれやと知恵を絞ってきました。

寒冷に強いものや特定の虫の被害にあわないものなど多品種を掛け合わせたり、かかしや電気柵を設けたり、その苦労は並大抵のものではありませんでした。過去には疫病などが大発生し飢餓に苦しんだ歴史もあります。農薬も導入当時は使用量がわからず試行錯誤の連続でしたが長年の研究の結果、種類ごとに用法用量が確立されてきたのです。

残留農薬と遺伝子組み換え

残留農薬については過去、輸入された食品で大きな問題になりました。日本の基準をはるかに超える農薬が検出され、実際にその野菜を食べた人が健康被害を訴えた例もあるほどです。これら農薬に代わると期待されているのが遺伝子組み換え食品です。

他の植物の遺伝子を導入し寒冷や害虫に耐性を持ち収穫量の多いものを人工的に作る方法です。国外では一般的になりつつありますが、国内では消費者の理解がまだ得られていないのが現状です。消費者庁が安全性を認めている食品はわずか8品目です。

身近に目にする事例としてはパッケージの裏面に記載されている表示の中で、「遺伝子組み換えでない」と書いてあるものをみたことがあるのではないでしょうか?あれは遺伝子組み換え食品の混入率が5%以下であれば表示してもよいという意味で、100%遺伝子組み換え食品ではないということではありません。

農場の収穫時に他の畑で栽培されている遺伝子組み換え食物と混じったり、流通、製造段階で混入する場合もあり、わたしたちは知らないうちに食べている可能性もあるのです。

→11品目の野菜の残留農薬を検査した高知県農業技術センター

洗剤で洗っても落ちない農薬

農薬は葉や根から吸収され内部に取り込まれるので表面を洗っても残留した農薬は完全には無くなりません。ですから栽培する人は虫や動物からの被害を少なくし、なるべく使用する量を控えるバランスに常に気を配っています。

使用量について

必要最低限の農薬を使用することによって害虫の被害を減らし、体内に入った微量な量は内臓器官によって濾過され排出されるので直ちに影響を及ぼすことはありません。しかし基準値を超えるものであれば器官で処理できず体に異変が伴うでしょう。

人間に備わっている濾過機能

みなさん濾過というとなにを思い浮かべますか?コーヒーフィルターはろ紙と呼ばれるフィルターに豆を入れお湯を注ぎ、コーヒー成分をお湯に溶かします。真空掃除機はごみと空気を吸い込み、ごみのみパックに区分けします。

人間にもこの濾過機能が備わっているんです。日々代謝によって分泌される老廃物は内臓の各器官によって、尿や便となって排出されます。人間にとって一日に必要な水の量は約2リットルと言われていますが、それは外部から摂取する量です。

人間の体の大部分は水でできており、その量は成人で体重のおおよそ60から70%となっています。60kgの場合、60×0.6=36kgにもなります。水の比重は1ですから2リットルは2kgです。では残りの34kgはどうやって維持されているのでしょう?実はその34kgもの体液を濾過して再度使用できるようにするための器官が腎臓と言われ体の恒常性維持を担っているのです。

人間には生まれつきこの器官が2つ備わっています。腎臓には必要なものは再度吸収し不必要なものは尿として生成して体液の塩分濃度の維持にも貢献しています。

農薬の種類

野菜の栽培に使用される農薬には様々な種類があり、その有効成分によって区分されています。一般的に言われる肥料、除草剤のほかに植物を病気から守る殺菌剤や表面に付着して食べてしまう虫を防ぐ殺虫剤などです。他にも成長を促す成長促進剤と呼ばれるものも農薬の一種です。

もちろんこれら農薬の効きづらい細菌や昆虫、鳥などの動物もいます。対策としてビニールハウスの中で栽培したり、電気柵を設けたり物理的な方法も存在します。

農薬の散布

オーストラリアやアメリカ、ロシアなど広大な耕作地を持つ国では農薬を撒くのも一苦労です。これらの国々では農業機やヘリコプターなどの航空機を駆使して短時間で一気に農薬を散布します。一方、国内では人の手で農薬を散布したり撒いたりするので手間と時間がかかり経済的ではありません。

しかし、最近では限定的ではありますが、農林水産省が散布する農薬の種類や飛行高度、飛行時間、飛行区域を決めたドローンを使用した散布も徐々に広がりを見せています。GPSを利用した耕運機などもメーカーから販売され機械化も進んでいますね。

ゴルフ場の芝生が年中青々としている理由

よくテレビでみるゴルフ場の芝生は年中青々としていますが、真冬でも青い理由をみなさんご存じですか?実は芝生の維持にも農薬が使われているんです。畑と違って耕すことのできないゴルフ場では定期的に芝草を植えて、枯れたものは除去しないと土壌もやせほそり芝生が育たなくなってしまいます。

芝草の成長を促進させる農薬や土壌に栄養分を補充する農薬、枯れた芝生(サッチと呼ばれる)を食べてくれる細菌入りの農薬を使ったりと野菜の栽培とはだいぶ違いますが、常に青々としている理由は定期的に芝生そのものを入れ替えているためなんです。

ゴルフ場の会員権が高いといわれる理由もわかりますね。

必要最低限の農薬を使用し残留農薬を減らす努力と選別する目を養うことが大事

完全無農薬は難しく、かといって遺伝子組み換え食品に切り替えることに不安もある中で、残留農薬をなるべく少なくし、人に備わっている濾過機能の許容量を超えない程度の農薬を使用された食品を選ぶのは、消費者にとって大変かもしれません。

しかし、最近では作った人がわかるよう表示されたものや、道の駅などでの直接販売などがあり選択肢は広がっています。自分や家族にとっての食の安全を決めるのはあなた自身なのです。